こんにちは、後藤寛です。
「0.6掛けが廃止されるらしいけど、中国輸入をしている自分に関係あるんですか?」
最近こういう質問をいただきました。
先に結論をお伝えします。関係がある人と、まったくない人に分かれます。
そして分かれ目は「これまでどう申告してきたか」です。
さらに言うと、同じ2028年4月1日に、もうひとつ別の変更が効きます。 0.6掛けの話だけを追いかけていると、そちらを見落とします。
この記事では、財務省の一次資料をもとに、自分がどの立ち位置なのかを判断できるように整理しました。
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0.6掛けとは何だったのか

0.6掛けとは、個人使用の輸入品にかぎって、課税価格を海外小売価格の6割で計算してよい、という特例です。
たとえば海外で3万円の衣類を買って輸入した場合、課税価格は3万円ではなく1万8,000円として計算されます。関税も消費税もその金額に対してかかるので、負担が軽くなります。
この制度が始まったのは1980年(昭和55年)です。
当時の輸入といえば、海外旅行のお土産や、個人が趣味で取り寄せるものが中心でした。
小売価格には現地の小売店の利益や販管費が乗っているので、そこから6割に割り引くのは実態に近い、という考え方です。
つまり「個人が自分で使うために少量を持ち込む」ことを前提に作られた制度でした。
ところが、この前提が45年で完全に変わりました。
輸入許可件数は平成28年の約1,700万件から、令和6年には約1.7億件へと10倍になっています。
TEMU・SHEIN・AliExpressといった越境ECが普及し、誰でも海外から直接買える時代になったからです。
前提が変われば、制度も見直されます。
そして見直しの影響は、あなたがこれまでどう申告してきたかで変わります。
あなたは3つのどれか

※本記事は公開情報をもとにした個人の整理です。個別の判断は必ず税理士・通関業者にご確認ください。
中国輸入をしている方は、次の3つのどれかに当てはまります。
| あなたの立ち位置 | 2028年4月1日に何が起きるか |
|---|---|
| ① 正規に商業貨物として申告している | 0.6掛け廃止の影響なし。ただし1万円以下の小口仕入れには消費税が乗る |
| ② 個人使用と申告して仕入れていた | 0.6掛け廃止が直撃。かつ財務省が不正として名指ししている領域 |
| ③ 1万円以下に分けて仕入れていた | 消費税の課税対象になる |
自分がどれか、もう分かった方もいると思います。ただ、③に該当する方は要注意です。 0.6掛けのニュースだけを見ていると「自分には関係ない」と判断してしまうからです。
ひとつずつ見ていきます。
正規に商業申告している人への影響

商業貨物として正規に申告してきた方は、0.6掛け廃止そのものの影響を受けません。
理由は単純で、0.6掛けは最初から「個人使用貨物に限り」適用される特例だからです。転売目的で仕入れた商品は商業貨物にあたるので、そもそもこの特例を使えません。使っていないものが廃止されても、何も変わらないわけです。
財務省の資料でも、廃止の対象は明確に「個人使用貨物」と書かれています。
個人使用貨物に限り課税価格を海外小売価格の6割にする特例を廃止。 (財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」令和7年12月26日 閣議決定)
ここまでは安心してよい話です。 ただし、同じ大綱のなかにもうひとつ、正規申告している方にも効く変更が入っています。それが後半でお伝えする1万円以下の話です。
個人使用で仕入れていた人への影響

個人使用と申告して仕入れていた方は、2028年4月1日から課税価格が1.67倍になります。 6割で計算できていたものが、10割になるからです。
そして、こちらのほうが重要なのですが、財務省はこの使われ方を「不正」として名指ししています。
関税局の資料には、廃止の理由として「個人使用貨物と偽り本特例を不正に利用する事例が発生」と明記され、具体例が挙げられています。
- 個人使用と申告して通関した化粧品について、短期間に複数回の輸入実績があり、照会したところ「実は販売用」との説明があった事例
- ジュエリーショップの経営者が、販促用のジュエリーを個人使用と偽り輸入していた事例
- 大量のスマートフォンが個人使用と偽り輸入申告されていた事例
さらに「国内での再販売(仕入れ・転売)を目的として貨物を輸入する者の存在」と書かれています。
不正に特例適用を受けていた課税逃れは、2024年に約3,100件(関税局調)。
つまりこれは「制度が変わるので負担が増える」という話ではなく、もともと想定されていない使い方が塞がれるという話です。
2028年4月を待たずに、体制を切り替えておく必要があります。
そして「1万円以下に分ければいい」という回避策も、同じ日に塞がれます。
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1万円以下に分けていた人への影響(同じ日に、もうひとつ効きます)

2028年4月1日から、1万円以下の少額輸入貨物の販売が、消費税の課税対象になります。
これは0.6掛けとは別の制度です。関税ではなく消費税の改正で、同じ「令和8年度税制改正の大綱」の消費課税パートに書かれています。
国境を越えて行われる通信販売のうち、1万円以下の少額輸入貨物の販売について、資産の譲渡等に係る消費税の課税の対象とする。
国外事業者による国内での物品販売及び事業者による少額輸入貨物の販売について、プラットフォーム事業者に消費税の納税義務を転換する制度(プラットフォーム課税)を導入する。
国税庁の資料では、1万円(税抜)以下のものを「特定少額資産の譲渡」と呼び、国内で行われた資産の譲渡とみなして課税対象にする、とされています。プラットフォーム経由の場合は、そのプラットフォーム事業者が申告・納税を行います。
施行日は令和10年(2028年)4月1日。0.6掛け廃止とまったく同じ日です。
ここで大事なのは、この制度は「販売する側」に納税義務を課すものだということです。日本で仕入れる側に直接の納税義務が生じるわけではありません。ただ、売り手やプラットフォームが納める消費税は、最終的に仕入価格へ転嫁される可能性が高いと考えるのが自然です。
具体的にどう当たるかは、条文レベルでの確認が必要です。ここは断定を避けます。 顧問税理士や通関業者に、自分の取引形態を伝えて確認してください。
言えるのは、「1万円以下に分ければ安く済む」という前提が、2028年4月で崩れるということです。
2028年4月までにやること

やることは1つです。個人使用での仕入れをやめて、商業貨物として正規に申告する体制に切り替えてください。
期限は2028年4月1日ですが、いま始めておく理由が3つあります。
1つ目は、財務省がすでに不正として名指ししているからです。制度が変わる前でも、個人使用と偽った申告は本来認められません。 2つ目は、切り替えには時間がかかるからです。代行業者との契約、インボイスの整備、申告の流れ。どれも一日では終わりません。 3つ目は、正規に申告している人にとって、この改正は追い風になるからです。財務省の資料は「国内外の事業者間の競争上の不均衡」を問題として挙げています。是正の受益者は、きちんと申告してきた国内セラーです。
具体的な切り替えの入口は、代行業者を使って商業貨物として通すことです。代行を通せば、インボイスや申告の書類が整った形で回るようになります。
代行の選び方は、こちらに別記事でまとめました。私が11年変えていない代行と、これから始める方に勧める代行は別です。 その理由も含めて書いています。
🔗 中国輸入の配送代行3社比較|11年変えない私が初心者に勧める1社
まとめ
- 0.6掛けは1980年に「個人が自分で使う少量の輸入」を前提に作られた制度。輸入許可件数が10倍になり、前提が崩れた
- 正規に商業申告している人は、0.6掛け廃止の影響なし
- 個人使用と申告して仕入れていた人は直撃。財務省が不正として名指ししている領域で、2024年に約3,100件
- 1万円以下に分けていた人は、同じ2028年4月1日から消費税の課税対象に
- やることは1つ。商業貨物として正規に申告する体制に切り替える
制度の変更は、正しくやってきた人には追い風になります。2028年4月まで、まだ時間はあります。
出典
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」(令和7年12月26日 閣議決定) https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_gaiyou.htm
- 財務省「関税定率法等の一部を改正する法律案 概要」 https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/kz20260220g.html
- 財務省 関税局「課税価格決定の特例の廃止」資料3-1(令和7年11月26日 関税・外国為替等審議会 関税分科会)
- 国税庁「国境を越えた電子商取引に係る消費税の課税関係について」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/denshisho/index.htm
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